LOST

初めは憧れ。 普通に近くにいたいと思った。 それがきっかけ。 今ではこんなに君を好き。 だから、オレを見てよ。 【lost Xmas.〜廉太郎ver〜】 オレは可愛いらしい。 ”雷神”のマスコット。 喧嘩は苦手。 だって痛そうじゃん。 でも、それを上から眺めてるのは結構嫌いじゃなかったりする。 「シューーーーーンっvvv」 大好きなシュンの背中を見つけて思わず飛び付く。 一人のところをワザと狙って。 思い切り助走をつけて。 案の定、シュンは突然すぎた衝撃に耐えられず、 「ぅわっ」 という言葉とオレ共に地面にダイブした。 狙い通り。 計算済み。 シュンが呆けている間に、オレはシュンの体の向きを変え、 正面から再び抱きつく。 ん?? この場合、押し倒すが正解かな? 「コタ!?な、っにしてるんですか」 「んー、オレも今考えてたんだけど、コレって押し倒してるよねー??」 「訳分かりませんよ、コタ!」 「分かんなくて良いよー、分からせるだけだから」 にやりと笑うと、シュンの動きがピタリと固まる。 だらだらと汗を流し、 上目遣いでオレを見上げる。 カーワーイーっvvvv 超可愛いっ。 一応、誤解してると思うけど、俺の家は代々合気道の道場を経営してる。 喧嘩は嫌いだからやらないけど、 色々な大会で優勝しているオレは、 例えシュンでもそう簡単にはのけられない。 「どいでもらえません?」 「そう言ってオレが従ったことがあった?」 「ない。」 んー、即答。 よく分かってるじゃん。 そういう意味を込めて笑うと、 シュンはオレの下ではぁー、と溜息をついた。 「今日はなにが目的なの?」 「よっくぞ聞いてくれました!!」 「わからいでか…」 だーよーねー。 何度もやられてれば自然と身に付くよね! そういうところ大好き。 「今日はクリスマスなのね。」 「はぁ、そうですね。」 「オレプレゼント欲しいのね」 「ファンから貰ってるんじゃないですか?」 「オレはシュンから欲しいのね」 「何も持ってません。」 「だから、オレはシュンを貰いに着ました。」 「勘弁してください。」 むー…そう簡単には頷いてくれないのね。 悲しいよぅ。 でも、コレで諦めるオレぢゃあない。 「それなら、キスして。」 「どこら辺が”それなら”なのか全く分かりませんが、 取り敢えず何でですか。」 「んもー。素直に頷いてよ。 じゃねーと貞操貰うぞ、ん?」 「喜んでさせて頂きます。」 後半部分を低い声で直接耳に吹きかけるように言うと、 シュンはいつも素直になってくれる。(違) 本当はもっと甘い雰囲気を作ってからにしたかったけど、 それはオレが我慢できなくて後ろから飛び付いた時点で無理だと分かってた。 取り敢えず、お許しが出たのでキスをする。 「んっ…ふぅ…」 はい、漏れる声が可愛いです。 初めてシュンを見たときから欲しくてたまらなかった。 魅かれたのは、その何にも興味が無さそうでいて、 何でも見透かしてしまうその目。 気が付いたら溺れていた。 ”雷神”ですら知らないオレの本性を唯一見抜いたから。 ずっと、その目の中にオレを写していて欲しくなった。 「ぷはっ…はっ…な、げぇよ、クソが。」 「ごっめーん。だってシュン可愛すぎ。」 「やかましい。」 良いじゃないか。 だって今日はクリスマス。 猫を被ってるオレはそう簡単にここまで積極的に動けない。 だから普段ちゃんと理性を堪えているご褒美なの。 知ってるよ、こんなオレは変なんだ。 分かってるよ、コレは子供じみた独占欲。 でも無理。 止められない。 だって… 「じゃぁ、もう用はないですね。」 「……ぅん。」 「………はぁ…。」 「シュン?っん!?」 シュンは突然、触れるだけのキスをした。 シュンからなんて初めてで、 オレは目を白黒させる。 そんなオレを見てシュンは不適に笑った。 「メリークリスマス」 そして、シュンは立ち去った。 オレは一人その場に立ち尽くした。 顔が熱い。 鏡を見たら、きっと真っ赤になっていること間違いなしだ。 「反則じゃん…」 たまに優しい君だから。 オレはまた甘えてしまうんだ。 「…あ、雪だ。」 通りで寒い訳だと、オレは一人ごちた。 -END-